岡さんの「開田日記」 2


開田の冬

12月〇日

今朝は、とっても冷え込んだ。
台所の温度計は、マイナス6度。

冷蔵庫から牛乳を取り出す。
マグカップに入れて、レンジでチン!しようと思ったのに、
随分傾けてからようやく出てきたものは
どどっ、どどっ、とシャーベット・・・。
牛乳は、液体のはずなのに。

卵を焼こうと思って、フライパンに油を注ぐ。
ん? む む む っ ! ?
油が、出てこない。
なんだか固まっていて、缶をさかさまにしても出てこないのだ。
油が凍るはずがないのに。 こんな事があっていいのだろうか。

昼間、仕事で役場へ行った。
黒板には 「今朝の最低気温 : マイナス25.4度」
と、書いてあった!!
寒いはずだ。


屋根の雪

駐車場の屋根の雪。
1メートル以上 は 飛び出している・・・。

とまぁ、こんな感じです。
年々暖かくなってきているので、今はもうマイナス25度までは下がらないのではないでしょうか。
村民に聞くと、「昔はもっと寒かっただ。」と、言われるでしょう。

油が凍った!と、開田の友達に話したら、「私の家では凍らない」 と言っていたので、比較的新しい家、または家族で住んでいて いつも暖房を入れている家では、凍ることはないようです。

私の住んでいた住宅は、川沿にあり、わりと古かったので 12月から2月頃までは、朝6時半の気温は、台所がマイナス4度、 北側の和室(6畳)がマイナス6度が、普通でした。

松の葉
台所がマイナスということは、冷蔵庫の中の方が、暖かいのです。
というわけで、冬は冷蔵庫は、保温庫になるのでした。

カレーを作っても、必ず冷蔵庫に入れなければいけません。
うっかりガスレンジの上に置いておくと、翌朝には凍っていて、お玉を持ち上げても、なべごと、くっついてきます。
放置カレー鍋 →→→ カレー鍋のその後
冬は寒いので、西側の和室に入ることはほとんどなく、東側の和室で、石油ストーブを2つ焚いていました。
夜寝るときは、ストーブを消しますが、もちろん電気毛布をつけて寝ます。(夜中に寒くて目が覚めることもありました)


話は前後しますが・・・

11月○日

仕事から帰ってきて、すぐお風呂に入りたいのに、入れない。
お風呂場は、お湯の出る配管になっていないので、水道からは、
氷水のような、つめたーい水しか出てこないのだ!
  まず、浴槽に水を入れる。 (約8分)
  灯油のボイラーで、沸かす。(約40分)

最近寒くなってきたので、お湯が沸くのに45分〜50分かかる。
今までは、40分で沸いていたのに。(それでも時間かかり過ぎ!)
なんてことだ!!

しかも今日、お隣りさんに、
「そろそろ風呂釜が凍って破裂するから、毎日お湯を抜かないとだめだよ。」と、教わった。ふーん。


11月○日

さっき、洗濯をしようと思ったら、洗濯機が動かない。
スイッチをいれると、ウィーン、ウィーンと音はするけれど回らない。
あぁこの洗濯機も、もう古いから寿命なのかなぁと思ったけれど、
あっさり壊れてもらっても困るので、洗濯機の横を叩いてみたり、中を手で回してみたり・・・なんか、ひっかかっている感じ・・・?

まさか・・・凍っている?

そこで、お風呂に入った後、残り湯を入れて、洗濯機を回してみた。
すると、回るではないか。
そう、前回の洗濯のときに微妙に残っていた水が凍って、
洗濯機の回転を止めていたのだ。

 


凍みすすき

すすきの穂の、
ほんの少しの水分が霜になり、
重みで垂れ下がっている。

 


そんな訳で、「お風呂に入った後、すぐ洗濯」すると、お湯も有効利用できるし、風呂釜も凍らず、凍った洗濯機も溶けるのです。
そのあと、暖かい部屋でくつろいでいて、洗濯物を干し忘れると、洗濯物はカチカチに凍りつき、洗濯機の中から出せなくなりますので要注意。

とっても寒いお風呂なので、シャンプーやリンスも凍ってしまいます。
お風呂に入ると、まず湯船につかりますが、この時、両手にシャンプー、リンスを持って入ります。
そうやって溶かしても、シャーベット状なので、ポンプは使えません。
さらに、それを洗いおけに入れて、お湯で溶かさないといけないのです。
そのまま頭に付けると・・・

シャキーン!!     つ、つめたすぎる・・・。


半解凍シャンプー
お風呂から出ると、廊下の気温はマイナス。
ダッシュで、ストーブのある部屋へ。
冷え込む夜は、なんと!髪の毛が凍ってしまうからです。


このように、開田の冬を過ごすには、随分手間がかかります。
寒がりで、冬が苦手だった私ですが、開田の冬を経験していくうちに、冬の生活を楽しんでいる自分に気が付きました。
そして、いつのまにか、冬が好きになっていったのです。
牧場の屋根のつらら。

昼間、お日様が照ると、屋根に積もった雪がとけて しずくになる。
でも、気温が低いため、ぽたっと 落ちる前に凍って、つららになる。
それと同時に、屋根の雪が重みで前へずれてくるが、 夕方〜夜に冷えて、固まる。

そして翌日、同じようにつららができると、写真のように 二重のカーテンになるのだ。
二重の氷柱

※ 絵・写真・解説とも 岡さつきさんの提供です。


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