さらに立ち入って、地質時代の世代を追いながら、この村の地質を調べてみましょう。
これについても、前記「島田安太郎著・木曽谷の地質」に詳しく調査記録されていますので、そのなかから開田村に関する部分を抜書させていただきます。 (「註」 島田安太郎先生は昭和22年(1947年)から昭和24年(1949年)まで、開田中学校長として在任され、その間開田村の地質調査を綿密に行い、“木曽谷の地質”という著書に収録されたものです。) 御嶽山麓にある開田村・三岳村・王滝村の地質 (1)古生層 この地方では、御岳の東側半分の基盤をつくって開田村・三岳村・王滝村池の越北西方の山の尾根附近まで分布している。 古生層をつくる岩石は礫岩・砂岩・粘板岩・チャート・輝緑凝灰岩などである。 礫岩は木祖村・木曽福島町と開田村の町村界大笹山附近の開田村地籍に分布している。 砂岩・粘板岩は古生層分布地全域に亘って分布している。 チャートは開田村では、岐阜県境附近の西野川の西部山地に、北東〜南西方向に二条並行して分布が見られる。 末川流域では西野九蔵から小野原に到る山地を東北東方向に走る露頭があり、これに並行する分布が四条程度見られる。 (2)中生代の岩石 白亜紀に属するものとしては、堆積岩では礫岩・角礫岩・砂岩・粘板岩などがあり、火成岩類では石英斑岩・上松・苗木型花崗岩などがある。 上松・苗木型花崗岩は開田村では、末川の支流畑福沢の源流附近に小露頭がある。 (3)新生代 第三期初期と見られる珪長岩・文象斑岩の岩脈は開田村では鎌ヶ峰附近に小露頭を見ることが出来る。 第四期もはじめ頃の先御岳火山活動時代の堆積物には地蔵嶺礫層・川合礫層があり、それにつづく火山岩には地蔵峠安山岩類とかんらん石玄武岩などがある。 地蔵嶺礫層は開田村では長峰峠・藤沢峠・関谷峠・西野城山・地蔵峠などに分布している。 火山岩に属する地蔵峠火山岩類は前述の地蔵嶺礫層の上をおおったり、とりこんだりする形で100〜150mの厚さでのっている。 分布は開田村では藤沢峠・長峰峠・関谷峠・西野川・藤沢川中間の尾根・西野城山・辰ヶ峰・藤屋洞北六山地・末川髭沢中間の尾根・地蔵嶺山地に分布している。 これら地蔵峠火山岩類の起原についてはまだ明確ではないが、北に行くにつれ高度と厚さを増していること、地蔵峠附近や辰ヶ峰では熔岩を観察できる。 辰ヶ峰(標高1816m)の熔岩は100mの厚さを示している。 藤沢峠(標高1774m)附近では軽石流などの上にディサイトを含む泥流が180m以上の厚さをもっている。
【注記】
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