開田高原って本当はこんなとこ・・・第19話

今年の開田村は、三月の終わりなっても大雪が降りました・・・

今年も春が来ました
福寿草が咲き、水仙が茎を伸ばし、4月に入り開田村も春です。
5月の連休頃には、水仙、芝桜、こぶし、桜など色んな花がいっせいに咲く事でしょう。

春の訪れが遅いせいか、花の季節がいっぺんにやって来ます。
今まですごく寒かった分、春の陽ざしはひときわ暖かく感じられます。
(とはいっても他と比べると十分寒いのでしょうが…)

暖かくなってくると、村のあちこちに現れる老人達の一団も目にします。
彼らは、カマ、ナタ、クワなどを持って、なにやら道端で車座になっています。

不穏だ!百姓一揆か?!

・・・もちろん、そんなわけありません。

春になると、道路沿いの花壇や山の整備などが、盛んに行われるようになるのです。
そんな作業に集まった人達が、よく道端でお茶を飲んで休憩しているのでした。
高齢化のせいか、お年寄りが多いのです。



車座

結構楽しそうです

年寄りばかりか子供達も・・・昔の話です。
ワタシが子供の頃、学校に、ナタ・ノコギリ・クワ等を持って登校する時がありました。
いや、それはワタシが、個人的に刃物を愛好するキケンな子供だったから、ではありません。
「明日はナタを持ってくるように」と、先生が言うのですから・・・。

別に、バトル・ロワイヤルな訳ではありません。
学校林の植林や整備のために必要なのでした。
物が物だけに、今時は何だか危険で物騒な感じですよね。
なんだか、のどかな時代でした。

でももっとすごいと思うのは、「ナタ持ってこい」と言われると、全員持ってこれたりする事実・・・。
ナタもノコギリもクワも、どこの家にも普通にある道具だったのでした。

道具
ノコギリ・カマ・ナタ

 

木曽馬の思い出
昔の開田村は、今より林業や農業がもっと盛んでした。
馬が働いている姿も、ごく稀ではありますが見かける事がありました。
鋪装されていない山道や農道等では、冬でなくても馬がソリを引いてる事もありました。

ある日、友達と近くの野原で遊んだ帰り道、ぶらぶらと山の坂道を下っていた時の事。
道が続く林の中から、ソリを引いた馬が、自分達に向かってバカバカと勢い良く駆け上がって来るではありませんか!!

何が何だか分からないけれども、とにかく「危ない!」と感じたワタシ達は、とっさに道を外れ、一目散に草っぱらの土手を駆け上がり、畑の横まで逃げました。
その時の逃げっぷりは、相当素早かったと思います。

馬は道をだいぶ先の方へ行って止まり、何食わぬ顔で草を食っていました。
後から馬の持ち主のおじさんが、歩いて坂を上がって行きました。
当然、私達のそんな騒動を知る事も無く・・・。

友達とワタシはその一部始終を、遠くからぼー然と見ていました。

「うったまいた!」
足はガクガクで、恐怖の体験でした。



馬そり

馬の考えることは分からん・・・

 



『第18話』に戻る   『開田生活秘話』の目次へ戻る   『第20話』は準備中