開田ことば講座・その1
☆ 知っていると役に立つ(かもしれない?)日常会話 ☆
"音"
を用意してあります。
実際に音声をお聴き頂いて、お楽しみ(?)下さい。
まずはウォーミング・アップに、簡単な日常会話使用例から。
※厳密には、開田高原内でも地域性や年代で、多少違いがあります。
1.開田高原近辺で村人に場所を尋ねます。
「すみません、ここは何という集落ですか?」
村人:「ふじゃぶろでょー」
訳:( 藤屋洞(ふじやぼら)です )
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村人音声
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2.道端で作業をしている村人に声をかけてみました。
「何をしてるんですか?」
村人:「かりぶし、まぐりーてょー」
訳:( 干し草を集めているところです )
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村人音声
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3.宿で、主人が話しかけてきたとします。
問い1:「今日はしみたで、えらがっつらー」
訳:( 今日は寒かったから大変だったでしょう )
問い2:「まあ、あがって、あぶってくりょ」
訳:( どうぞ、あがって暖まって下さい )
問い3:「あしたぁさいは、あせ、くぅがー?」
訳:( 明日の朝は、朝食を食べますか? )
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問1
問2
問3
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4.何かを持っている村人に尋ねてみました。
「すみません、それは何ですか?」
村人:「へーとりばちのすでょー」
訳:( 地蜂の巣です )
「どうするんですか?」
村人:「くゃーついぇー」
訳:( 食べるんです )
「大丈夫なんですか?」
村人:「ずさね」
訳:( 大丈夫です )
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村人音声
村人音声
村人音声
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5.付近を散策していると、村人同士が会話をしていました。
村人A:「われ、どごいぎゃーつ?」
訳:( あなたは、何処にいくんですか? )
村人B:「たばんさまで、いってこすかとおもってさ」
訳:( 把之沢まで、行って来ようと思ってます )
村人A:「おりもようあるで、いっどにいじゃ」
訳:( 私も用が有るので、一緒に行きましょう )
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村人会話
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<単語帳>
開田高原の主な地名の「開田読み」・・・以下の様に呼ぶ場合が多々あります。
・小野原(をんばら) |
・藤屋洞(ふじゃぶろ) |
・貝坪(けーつぼ) |
・把之沢(たばんさ) |
・髭沢(へんさ) |
・土橋(つばし) |
・恩木(をんき) |
・柳又(やりまた) |
・鵜類沢(うりさ) |
・管沢(くだざ) |
・末川(すぅえーが/せーが) |
・大込(おーめ) |
・馬橋(まばし) |
・関谷(せぎや) |
・髭沢渡(へんさど) |
・下向(しむぎゃ/しもぎゃ) |
・中沢(ながざ/なかざ) |
・藤沢(ふいさ) |
・・・と、ちょっと書いてみましたが、実際にはこんなにしっかりした開田言葉を、 「明らかによそから来た人」に対して、話す人はいません。
勿論普通の話し言葉も全部通じます。安心して下さい。
※『蜂の子』も、日常的に食べているわけではありません。
開田の人々の使う言葉は、今は随分変わってきています。
上記の様な、はっきりと開田の言葉と分かるような言葉を、実際の生活で使っているのは、やはり、年配の方ばかりになってきています。
TV時代の子供達は、当然のように標準語を話しています。
開田の言葉は、このまま消えていってしまうにはもったいない、由緒ある言葉です。
驚くなかれ、万葉集に登場する様な古語を、ほぼそのまま使っているものもあるのです。
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ちなみにこのサイトのタイトル「ずんね」の由来・・・。
「人の品高く生れぬれば・・・自然(ジネン)にその気はひ、こよなかるべし」
・・・・源氏物語の一節です。
「じねんじょ」というお芋(「ヤマノイモ」の別名ですが)がありますが、これを漢字で書くと「自然薯」となります。
「ずんね」の語源はこの「自然(じねん)」です。
開田で使われる場合、「ズンネニ」で「ゆっくりと」の意味になります。
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次回は少々学問っぽい解説と共に、面白い単語の数々をご紹介していきます。
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