開田方言辞典・その7

その歴史的背影や地方的関連...開田方言/単語辞典 7 ☆


音声については、主に末川地域のもの

単 語
意 味
使 用 例
★ 音声 ★
カレ からい(辛い)。
この唐辛子は、すごく辛い。 コノ ナンバン エライ カレ
カルガネ 軽くない。ガネは一般的に否定詞。
痛ガネ・・・痛くない。/食イタガネ・・・食いたくない。/行キタガネ・・・行きたくない。
軽そうに見えて、軽くない。 カルソウニ ミエテ カルガネ
・・・カラカス

たたっカラカス。蹴っカラカス。
カラカスは、かる・・・狩るの強調。獲物を求めて一生懸命探し歩く。獲物は鳥獣に限らず、きのこ狩り、紅葉狩りもある。
落花の雪にふみまよう。かたのの春の桜がり(大平記)
何を求むるをばカルと云う也(「奥儀抄」中拾遺抄)

   .
・・・カラカイテ 降って降って降りからかいて(藤村・夜明け前二部)
「きぢんの直垂に小桜を黄にかへいたる鎧着て、赤銅づくりの太刀を佩き、二十四さいたる白羽の矢負ひ」(平家物語より)
文中かへいたるはかへしたる。かへいたるはかいたるに転。かいてはかい たるの転。繰り返すことの強調語がカラカイテ。
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カワイセ 可愛そうだ。可哀そうだ。
(かわいいの意でも使う)
それは可哀そうだ。  ソリャ カワイセ
カンペ かんぴょう。
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ギッチョ 左ききのこと。
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キカミ 髪の毛。
髪の毛が伸びた。 キカミ ノビタ
キイタ 来つつある。やってくる。イタを進行形によく使う。
イギイタ・・・行きつつある。/シイタ・・・ためしつつある。/ヤリイタ・・・やりつつある。

あっちから来つつある。 アッチカラ キイタ
キツイ 強い。頑張りがある。気が強いの意。

あの男の子は、強いので泣かないぞ。 アノボハ キツイ デ ナガンゾー
キチカ°ウ 騒ぐ。狂う。気がふれるのとは意味がちがう。
(キーチャウともいう)
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キケル 聞こえるの訛。キケタ。
キケン(聞こえない)。キキタガネ(聞きたくない)。
よく聞こえる。 ヨー キケル
キタガネ
キレヤー
キンヨー
着たくない。
着なさい。
着ない。
着たくないので、私は着ない。 キタガネデ ヲラ キンヨー
キブリ 煙の訛。
キブル・・・けむる。/キブイ・・・けむい。/キブガネ・・・けむくない。
煙がこちらに来てけむい。 キブリ コッチ キテ キブイ
キメル おさえる。キメコムはおさえこむ。

しっかりおさえておけ。 チャント キメトゲ
キズル けずるの訛。
  .
キビショ きゅうす。 きゅうす取ってください。 キビショ トッテ クリョ
キャータ 書いた。末川・把之沢ではケータ。
私はもう書いた。 ヲラ ヘー ケータ
キャン
キャンノ
キャンツ
こんな。
こんな物。
こんなやつ。
こんな物じゃなくて、こんなやつだった。 キャンノ ジャナクテ キャンツ ダッタ
キャンナル こうなる。末川・把之沢ではケンナル。

そのままだと、こうなるぞー。 ソノマンマダト ケンナル ゾー
キタギャ 来たかい。来ましたか。ギャは軽い疑問符。末川では「ガー」又は「ガラ」。
シタギャ・・・しましたか。/イッタギャ・・・行きましたか。/イタギャ・・・居ますか。
今来たのかい。 イマ キタガラ
キロモ 着物。(和洋服を問わず使う)   .
キンカ 疵(傷)のあと。
やけどをして疵あとが残った。 ヤゲバチ シテ キンカニ ナッタ
キンニョ 昨日。飛騨地方中部以南で多く使う。

昨日は晴れた。 キンニョハ ハレタ
キイト 絹糸のこと。飛騨東部・美濃南部でも使う。
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クウ
クエ
食べる。
食べなさい。クエヤ。クヤー。
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クリョ 下さい。クリャーも同じ。 ちょっと貸して下さい。 チット カシテ クリャー
クレン くれない。
否定の助動詞に「ン」を用いるのは西部方言の特徴の1つ。 行かん・せん・くわん・やらん等。
関東語は「ネェ」を使う。しねぇ・行かねぇ・やらねぇ等。
「ン」と 「ネェ」の境は鳥居峠乃木祖村薮原と小木曽の間にある。(木曽の方言より)
手伝ったが、何にもくれない。 テツダッタガ ナンニモ クレン
クスケ°ル 串が動詞化されたもの。刺す。能動態。    .
クスカ°ル ささる。受動態。
山梨・静岡・愛知・岐阜でも使う。
クスク°。
刺がささって痛いよ。 トキ°クスカ°ッテ イテョー
クツバカス くすぐる。    .
クツバッコイ くすぐったい。
長野・岐阜・丹後・兵庫・鳥取の方言。
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クレェ 暗い。    .
グワエ 具合がよい。 これは具合がよい。 コリャ グワエ
ケエール 交換する。帰るのケエールはケが低音。交換するのケエールはケが高音。西野ではキャール。 調子が悪いので交換する。 チョーシ ワリデ ケエール
ケンシテ こうして。西野ではカーシテ。
こうして持ってみなさい。 ケンシテ モッテ ミロ
ゲーラッコ おたまじゃくし。西野ではドッブキッコ。
(ゲーランコ、ギャーランコともいう)
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