開田方言辞典・その9

☆ その歴史的背影や地方的関連 ...開田方言/単語辞典9☆

*音声については、主に末川地域のもの
単 語
意 味
使 用 例
★ 音声 ★
ササイ ささげ(豆)。些細とはちがう。
サレル さがしまわる。
「さらい、掃除なりと云へり。木把とも云へり。サラヘルを体に言うなり」(倭訓栞)。
サレルはサラヘルの縮まったもの。
語原は「渫う。」「浚う。」
家中、探し回る イエジュウ サレル
サベル 喋る。話す。
サベッタ−喋った。話した。
シャベルも同じ。
会って話した アッテ サベッタ
サーラ 椹(さわら)の訛。
サベシー 淋しい。 お前がいないと淋しい ワレ イタラント サベシ
サール そうする。
サーレ − そうしなさい。
サーッテオゲ − そうしておきなさい。
サァンナヤ − やってはいけない。
サッテヨー − そうして下さい。(末川)
それじゃー、そうする ソイジャー サール
座席。
サッザ 充分。あきる。
サッザになった − もうあきあきした。
サンザも同じ。
長い事待っていたので、もう飽き飽きした ナゲゴト マチタッテ サッザンナッタ
サクル 疏るから出た言葉。鋤で前の方へ土をおこすことがサクルのはじまり。棒などで物を前方へすくい投げること。サクッテヤル。サクッテナゲル等
サッキ 先程。「既に」という意もある。 先程バスが行った サッキ バス イッタ
   
サブイ 寒いの訛。サブガネは寒くない。 外は寒い オト サブイ
   
シカタネ 仕方がない。 それは仕方がない ソリャ シカタネ
   
ジキ すぐ。すぐは和語。ジキは「直」で語原は漢語。 すぐに行きます ジキ イグヨ
   
シク°レル
(※ °は鼻濁音)
雨がしとしとと降ること。共通語に近い。
シタベラ
シタベロ
シタベラ
舌。ベロと略すこともある。シタは舌。ベロは擬態語。
いずれか一方でも通用する。
舌噛んで痛い シタベロ カンデ イテ
   
シダミ どんぐり。ソダミとも言う。
シツラ したでしょう。シタズラとも言う。
おまえ達、けんかしただろう ウンナ ケンカ シツラ
ジツケ 湿地。 あそこは湿地だ アスコワ ジッケダ
   
ジクタ ドロまじりでぐしゃぐしゃしていること。ジクタコネテなど。
シテェ したい。の訛。 旅行がしたい リョコウ シテェ
   
シブテ みぞれ。シブテユキとも言う。 みぞれが降っている シブテ フリータ
   
シブイ 金銭を出ししぶること。ケチケチすることと同じ。
シブッタレは、シブイ人のこと。
シミッタレの場合は不精の意味もある。
シバル 結ぶ。 ひもを結ぶ ヒボ シバル
   
ジバン じゅばんの訛。
シモザ 下座。上座にたいする下座。
いろりの場合は主人の座るヨコザの向かい側。
シャジ さじ。 さじで混ぜる シャジデ マジル
   
シャーナコト(西野)
シャンゴト(把之沢/末川)
そんなこと。
シャンノ − そんなもの(西野)。 シャーナムンもほぼ同じ意味。
シャーンは「そんな」といった意味。
そんなこと無い シャンゴト ネ
シメシ おむつ。古語。 おむつを替える シメシ ケール
   
ジャネ ではない。否定詞。 自分ではない オリ ジャネ


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