開田方言辞典・その10

☆ その歴史的背影や地方的関連 ...開田方言/単語辞典10☆

*音声については、主に末川地域のもの
単 語
意 味
使 用 例
★ 音声 ★
シャッパイ 塩辛い。ショッパイも同じ。(シャッペとも言う) この味噌汁は塩辛い コノオシ シャッパイ
シャッポ 帽子。シャップの訛。 帽子を取って下さい シャッポ トッテクリャ
ショーシクテ 大変結構なものをいただいて有難いと御礼の言葉。
ショウシカッタ・オショウシナなどの転もある。
恐縮をあらわす言葉。
語源は笑止千万の笑止から来ている。
自分のような笑止な者にあんな立派なものをいただいて、なんとも恐縮しています。
ショッツカメル つかまえる。捕らえる。
(ヒッツカメルとも言う)
ショーネカ°ワリ
(※ °は鼻濁音)
度胸が悪い。臆病のこと。 臆病なのでだめだ ショーネ ワリクテ ダチカン
ジョーリ 草履。
ショント 仕事。昔の言葉。 仕事に行く ショント イグ
シロカキ 苗代掻き。
ジンニ だんだん。順に。 だんだん暖かくなる ジンニ ノクトグナル
ジョンジョ ワラ草履。子供の言葉。
スカ°リ
スンカ°リ
(※ °は鼻濁音)
脚長蜂。巣を木の枝や地表につくる。
語源は、「(万葉集379)腰細のすがる乙女のその顔のきらきらしきに」から、腰細の脚長蜂のことをスガリ・スンガリという。
足長蜂が巣を作ってる スカ°リガ スー カゲッタ
   
ハイトリバチ 地蜂。略称ハイトリ。巣を地下につくる。
ヒャートリ (西野)
ヘートリ (末川)
ズグナシ 怠け者。 ズクヤムは怠ける。
ズクは精。飛騨地方南部で使用。
そんな気力はない シャン ズグネ
スカン 好かぬ。気に食わぬ。スッカンも同じ。
ヤーラシイと同じようだが少しちがう。スカンの方が強い。
ズサネ 大丈夫。心配ない。たいしたことない。などの意。
ズサナイも同じ。
ちょっとくらい大丈夫だ チットバガ ズサネ
ズモル どもる、の訛。
・・・・・スナ 行ったスナ。やったスナ。食ったスナ。等、そうだの意味。
(スニャ、スンニャとも言う )
車で行ったそうだ クルマデ イッタスニャ
スベ ほくろ。飛騨北部で多く使う。 顔に、ほくろがあった ツラ二 スベ アッタ
   
スモンボ すもも、の訛。
セリャー やりなさい。ヤーの語尾上がる。 早くやりなさい ハヨ セリャー
ソースリャー 語尾下がれば、「そうすれば」になる。
この場合、語尾にさらにサー・ニャー(ソースリャーサー、ソーセリャーニャー)がつく。
そうすれば、自分が言っておくよ ソースリャーサー オリ ソットグデ
   
ツクバル 正座すること。歴史的には正座はあぐらより後に生まれた行儀。
「なんぢがツクバウて居る所は、白犬にそのままぢゃ(狂言記)」
二つとも「ドツ」という接頭語がつくことあり。
飛騨・東美濃でも多く用いる。
正座している ツクバッテタ
スンキ 菜葉を発行させて酢っぱく漬けたもの。 あなたの所のスンキは、おいしいね ウンナ スンキ ウンメンナー
   
ズンネ ゆっくり。ズンネニ・・・ゆっくりと。
ズンネの語源は自然。「人の品高く生れぬれば・・・自然(ジネン)にその気はひ、こよなかるべし(源氏物語、帚木)」
ゆっくりと行こう ズンネニ イジャ
スンキタンキ いたどりのこと。
ズリコメ 入りなさい。ズリコム・・・入りこむ。 こたつに入る コタツニ ズリコム


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