開田方言辞典・その4

☆ その歴史的背影や地方的関連 ...開田方言/単語辞典 4 ☆

*音声については、主に末川地域のもの
単 語
意 味
使 用 例
★ 音声 ★
イマシカ°タ/イマカ°タ
(※ °は鼻濁音)
今。たった今。直前の意。主として軽い過去形。
たった今、通過しました イマシカ°タ トォーッタ
イノグ 動く。
動くと思ったけれど動かなかった イノグト オモッタガ イノガナンダ
イラッポイ 滑らかでない。刺がある。粗末の意もある
(ゴミが入って)目がゴロゴロする メー イラッポイ
イヲ 魚「ゆお」西野の訛もある。伊遠(和名抄)末川ではよお。
荒海の怒れるいをの姿 (源氏物語箒木)
魚を獲りに行く イヲー トレー イグ
イレムノ 入物。容器。
インニャ/インニョ 否。否定詞。
いいえ、そうではない インニャ ソージャネ
イェ 柄(え)。ヒシャクの柄など。
柄を折ってしまった イェ オッチマッタ
ウブル 燻(くすぶ)る。エブル、イブル、もある。
燃えないでくすぶる モエナ ウブル
ウブス いぶす。
ウグ 浮くの訛。ウガン・・・浮かない。
浮くか浮かないか、どっちだろうか? ウグガ ウガンガ ドッチズラナ
ウズメロ 埋めろの訛。
ちゃんと埋めろ チャント ウズメロ 
ウッタマケ°タ
(※ °は鼻濁音)
びっくりした。
動詞や形容詞の上に「ウッ」をつける特徴がある。
「ウッ」は一種の接頭語。タマイタという方が自然。
びっくりしたよ ウッ タマイテョー
ウム 熟す。
怪我が「うむ」も語源は1つ「膿む」から。
東美濃東部郡上・飛騨でも使う。
うまそうに熟す ウンマソウ二 ウム
ウデル 茹でる。
そばを茹でる ソバ ウデル
ウムス 蒸す。群馬・岐阜・宮崎各県も同じ。
とうもろこしを蒸す マメキビ ウムス
ウミル 蒸れる。
もち米が蒸れる モチゴメ ウミル
ウッチ 家(うち)。
わいら(うんな)うっち・・・君の家。
うら(をら)うっち・・・・私の家。
君の家に行く ウンナッチ イグ
ウバ/ババ 祖母。老婆。
あれはどこのお婆さんだろう アリ ドゴノ ウバ ダイ
ウレシカッタ 有難かった。見舞いを受けたときの返礼などによく使う。
ウレシカッタゾなど。
一般的な嬉しいとは若干ニュアンスが違う。
ウラッポ 木の末枝。末の方。飛騨各地で使用。
ウラ 私。私達。
単称の場合はオリ・ヲリの方をよく使う。末川ではヲラ。
私は知らない ヲラ シラン
ワレ ウラの対語。お前・君。
複数「お前達」にはワイラ・ウンナ。

お前だろう ワレ ズラ
ウロ 空洞。とくに木の空洞のこと。
「空・虚・洞」などウッロの略か(大言海)
ウドとの訛もある。
ワツラ 表面。
表面にカビが生える ワッツラ カブル
ウント たくさん。
たくさん食べて下さい ウント クッテクリョ
ウンメ うまい。おいしい。
ウンマガネ・・・うまくない。
ウンメヨー・・・おいしいよ。
おいしいですか ウンメ ガラー
ウンナケ°ル
(※ °は鼻濁音)
投げる。動詞にウンをつける。一種の接頭語。
向こうに投げる アッチ ウンナケ°ル
ウンナ 君達。
君達は何をしているのですか ウンナ ナニ セータツ
ウチワ 身内同志。一族。同族。
身内同士の話なので ウチワノ ハナシダデ

 


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