開田方言辞典・その5

☆ その歴史的背影や地方的関連 ...開田方言/単語辞典 5 ☆

*音声については、主に末川地域のもの  
単 語
意 味
使 用 例
★ 音声 ★
エカ°ラッポイ/イカ°ラッポイ/ヒカ°ラッポイ
(※ °は鼻濁音)
生燃えの煙などがのどを刺激する感じ。 喉がイガイガする ノド イカ°ラッポイ
エー/イェー よろしい。いい。 いい色だなー イェー イロダンナー
イェー/イェ 欲しくない。いらない。 ご飯はいらない メシハ イェ
エド よだれ。ヨドの訛もある。
エーナモノ/ヤーナモノ(西野・把之沢) あんなもの。 あんなもの、何に使うの? エーナモノ ナイセルチャー
エーガンニセロ いいかげんにしろ。
イェヌシ(主に西野)/エノシ(末川・把之沢) 主婦。東北・信越地方に多い。東北から信越にかけて、ひろく主婦権をイェヌシという。
エータ 開いた。空いた。 箱、空いたか? ハゴ エータガー
エエッタラン 開いていない。空いていない。 店が開いていなかった ミセ エエッタラナンダ
ガメツイ 頑固だ。我欲が強い。
ヲ(オ) 麻。万葉の古語。「をとめらが、麻笥(おけ)にかけたる績麻(うみお)なす・・・」第六編第五章参照。
オイタ やめた。北飛騨・恵那・岐阜(吉城)地方でも使う。
雨が降ったのでやめた アメフリ ダデ オイタ
オゲ 桶の訛。オの音が高い
その桶を取って下さい ソノ オゲ トッテクリョ
オゲ やめなさい、よせ、の意。オの音が低い。「オゲヤ」など。置けにも通ずる。 もうやめなさい ヘェー オゲ
ヲギル 起きる。
オクワ こわめし。赤飯。 赤飯を作る オクワ コセル
ヲガシイ 一般的なおかしいと少し違う。こっけいに近い意。
ヲモシレ おもしろい。 この映画おもしろい コノ エイガ ヲモシレ
ヲゼ/ヲゾイ

粗悪。悪い。
「ヲゼ奴」など。品物にも人間にも使う。品物に使うときは、粗悪な品物、悪い品物の意。人間に使う場合は悪賢い人、駄目な人などの意。

みやび男と吾は聞けるを宿借さず。吾を返せり おぞ のみやび男(万葉集)
おぞく 手向けしたれや君に逢ひがたき(万葉集)
古い家だ  ヲゼ ウッチ ダ
ヲカ°メル
(※ °は鼻濁音)
拝める。月・太陽などが見えること。昔の人にとっては、天体は物体でなくて、神格を持った信仰の対象だった。天体を見ることは拝むことであった。月が見えることは月が拝めることであった。
ヲーガタ 大部分。 大部分終わった ヲーガタ スンダ
オ(ヲ)イックラ 追っかけあい。クラはクラベの略。競争の意。 追いかけっこしよう オイックラ セッカ
トビックラ かけくらべ。 かけっこで負けた トビックラデ マゲタ
オ(ヲ)セ/オ(ヲ)セェ 遅い。 あいつ、遅いなー アリ ヲセンナー
ヲセル 教える。オセンは否定詞。教えない。 教えるからやってみなさい ヲセルデ ヤッテミロ
オッカー 母。
バァ(西野・把之沢) 祖母。末川はババ。 私の家の祖母が言った ヲラッチノ ババ ソッタ
オッカナヤ あきれた。 まあ、あきれたこと アー オッカナヤー
ヲ(オ)トテ おととい(一昨日)。 おととい会った ヲトテ アッタ
オラ/ウラ 俺。俺達。単数にも複数にも使う。 俺は帰るよ オラ カエルゾ
オ(ヲ)リ/ヲイ(下條) 私。 ヲ(オ)リガ・・・私の物。
所有権の主張。末川ではオリヤン
それは私のだ  ソリ ヲリャンダ
オ(ヲ)ヤマ 御嶽山のこと。 今日は、御嶽山がよく見える キョウハ オヤマ ヨー メール

 


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