開田高原って本当はこんなとこ・・・第11話

うったまいたストーリー <近頃開田者が驚いた話・その4>

自然に親しむ人々・・・その1
開田への交通の便は、昔に比べると格段に良くなりました。
新地蔵トンネルが開通する以前は、開田に通ずる各道路は、舗装等の整備はそれなりに進んでいたとはいえ、決して道路事情が良い方ではありませんでした。
それゆえ、訪れる観光客もそんなに多くもなく、どことなく秘境の感もあったのです。
元々、大勢の人を魅了する様な有名な何かがある訳でもなく、山奥のただの寒村でしたから、一般の観光客がそれ程多く訪れないのも無理はありません。

しかし近年は、交通の便が良くなり、自然に親しむ風潮が流行ったせいもあるのか、開田を訪れる観光客も増えて来て、村内に店・宿・施設等が随分できました。
開田へは、マイカーやバイクで来る人が多いのですが、最近は観光バスも目立ちます。

夏のある日、某施設の駐車場に数台の観光バスがやって来ました。
客とバスガイドが降り、さらに運転手も降り、バスは無人になりました。
しかし、どういう訳かエンジンはかけっ放しで、ゴロンゴロン騒音を出し続けてています。
おまけに、周囲には臭い排気ガスが漂って来ました。

結局バスは、発車するまでの延々2〜30分間、そのままの状態でした。
想像するに、どうやらバスのクーラーを効かせておく為に、エンジンをかけっ放しにしているようなのです。

確かに、開田といえども晴れた真夏には日射が強く暑いのです。
でも、いくらバスの乗客へのサービスとはいえ、観光バス以外で来ている他の観光客もいるわけだし、2〜30分もエンジンをかけたままというのは・・・どうなんでしょう?
せめてエンジンをかけるのは、出発前の数分程度に出来ないんでしょうか?

その後もその場所には、バスが何台もやって来ましたが、ほとんどがエンジンかけっ放し・・・。
せっかく開田まで来たんだから、澄んだ空気や自然の音や静けさなどを感じた方が楽しいと思うんですけど・・・。
何とも矛盾を感ぜずにはいられない出来事でした。

ついでに、疑問を1つ。
「トレッキング・ツアー」という看板を掲げた観光バスが、開田の観光ポイントを走り巡っているのを時々見かけますが、「トレッキング」というくらいだから、乗客の皆さんは少しは歩くのでしょうか?
ちなみにワタシは、数人のグループで歩いている人達は時々見かけた事はありますが、団体観光客のトレッキング姿を見かけた事はありません。
実際、ツアーの行程を知っている訳ではないので何とも言えませんが・・・。

もしやあれは、バスが開田をトレッキグするツアー・・・?
ディーゼル車の後ろを
走って来ると・・・


排ガス犠牲者の図






トレッキング・・・?
トレキング・バス?


自然に親しむ人々・・・その2

キャンプは何かと不便な事もありますが楽しいものです。
アウト・ドア・ブームの影響もあるのか、シーズン中の開田高原のキャンプ場は盛況の様です。
ワタシの場合は、バイク・ツーリングで、宿泊費の節約のためにキャンプをする事が多いのですが、ここ数年は、お盆の頃に友人達を誘って「野宿宴会」をするのが、恒例の楽しい行事となりつつあります。

今年の夏、川の小さな中州にテントが張ってあるのを見かけました。
デイ・キャンプで一時的に張ってあっただけなのかもしれませんが、見るからに上流でひと雨降ったら危険そうな場所だったので、驚きました。
幸いな事に、その日はとてもいい天気でした。

川の上流域でキャンプをする人達もいて、所々にゴミや焚火の後がある場所が何カ所もあります。
水もきれいで飲料水にも困らず、確かにキャンプには魅力的な場所ですが、もともとその地域は国有林や私有林などがあり、森林資源を山火事から守る為にキャンプ等は禁止されていて、看板もしっかり立っています。
中には、開田村の水道の水源になっている川の上流域もあります。

開田村の水道施設は、もともときれいな水を使っているので、都市部に比べればとても簡易な施設です。
それだけに、上流で水を汚されたりすると、とても恐いと思っています。

最近は、村内に数カ所あるトイレ設備付きの駐車場で、キャンプをしている(!)人達も時々見かけます。
車が特長的で目立つせいかもしれませんが、キャンピング・カーで来ている人達が多いような気がします。

ほとんどの人達は公共の場という事を十分意識して、ゴミに気を付けたり、場所を占有したりしないように、控え目にキャンプをしていると思いますが、中には堂々と、施設の水道の蛇口からキャンピング・カーまでホースで水を引いたりして、盛大にキャンプしている人々も見かけます。
施設関係者から聞いた更にすさまじい話では、水道の凍結防止装置等の電源プラグを抜き、そのコンセントから電気を引いて使っている人達もいるらしいのです。
彼等がキャンプを撤収した後に、ささっていたはずの電源が抜けていたり、使った痕跡があるので分かるのだそうです。

キャンピング・カーは高価な物だろうし、それを買ってまでキャンプする程アウト・ドア好きなら、キャンピング・カーに見合う設備の整ったオート・キャンプ場に行くなり、最低限のマナーを持ち合わせてキャンプをするなりしそうな物なのに・・・。
電気を盗んでまで自分達が楽しもうという程度の低さが情けない!

勿論このような駐車場は、正式なキャンプ場ではありません。
水を汲んでいって使う程度の控え目なキャンプならともかく、ゴミを捨てていったり、ずうずうしく電気まで繋いで使うような事が続けば、そのうち「キャンプ禁止」等の目障りな看板が立てられてしまうかもしれません。
そうなったら、せっかくそれ迄気を使ってキャンプをしていた人達には、心外な事でしょう。

尾の島の滝





野宿宴会準備図

野宿宴会準備中

恐るべし!開田の生き物
家の横には畑がありいろんな野菜を作っています。
去年の夏の事ですが、そこで作っていたトウモロコシが何者かに食べられるという被害が続きました。
茎に付いたままのトウモロコシの一部が何本か噛られてしまっていました。
犯人は、ネズミかイタチかはたまたタヌキか?
それとも近くの集落で出没するようになったというサルか?
家族の間ではいろんな説が出ました。

とにかくトウモロコシを植えてある一画を高さ1m程のネットで囲ったり、ウサギなんかを獲る時に使う、パチンと両側から挟むワナを幾つかトウモロコシの根元に仕掛けたり、大騒ぎとなりました。
数日後の夜、畑の方で物音がしました。
どうやら何かワナに掛かったようでした。

早速現場に行って見ると、何とワナに足を挟んでいたのはネコでした。
ネコは、挟まれて観念したのか驚いて固まっているのか、妙におとなしくしていました。
そのネコは家の周りや農具置き場などで、以前からよく見かける奴でした。
どうも家の敷地内に住み着いているようですが、とても警戒心が強く人に全然なつかず、人を見るとすぐ隠れるような野良ネコです。
したがってエサは与えていませんが、時々畑の隅にある生ゴミ捨場で家の残飯をあさっているようでした。
ワナに掛かった状況から、トウモロコシを噛っていた犯人はどうみてもそのネコのようです。

いろんな物を食べたり利用したする山村の開田村でも、ワナに掛った獲物とはいえ、さすがにネコを食べたり毛皮を利用したりする風習はありません。
ネコの足を挟んでいるワナを取ってやると、怪我も無いようでそそくさと逃げて行きました。

確かに最近のトウモロコシの品種は、生で食べてみても甘いです。
そういえば、北海道で生食用としてトウモロコシを作っている農家があるという話題を、テレビで見た事があります。
ネコが甘い物を好むかどうか知りませんが、それにしてもまさか野良ネコが、畑の生のトウモロコシに噛り付いて食べていたとは驚きです。

トウモロコシの茎にしがみついて食べている姿を想像すると、笑えます。
生きる環境が厳しいとはいえ、開田の野良ネコは恐るべし!
何を食って生きているか分かった物じゃありません。

ちなみにそのネコは今だに家の近くに住んでいて、今年は仔ネコを連れていました。
犯人激写!
犯人発見!



開田猫

開田猫
トウモロコシ盗現場
想像図

 


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