開田高原って本当はこんなとこ・・・第14話

虫やら動物やらキノコやら日本一寒くなったりする話題やら・・・。

「山の幸」再び・・・
ある雑誌で読んだのですが、山梨県のとある場所では蜂の子の乱獲騒ぎがあり、「ヘボ(地蜂)養殖中、立ち入り禁止」の立て看板がある山があるそうです。

それ程まで人気は加熱していませんが、開田村でも昔から蜂の子やイナゴを食べます。
肉食の蜂は害虫の幼虫を食べてくれるし、それ以外の蜂も蜜を集め受粉などをしてくれるので益虫だそうですが、山村では蜂自体も食料になります。
でも、子供の頃から蜂にはしょっちゅう刺されて、何度も痛い思いをしています。

その蜂なんですが、最近の温暖な気候と関係があるのか、昔はあまり見なかった種類の蜂が増えてきているようです。
インターネットでちょっと調べてみたところ、たぶんスズメバチ科のキアシナガバチかセグロアシナガバチだと思います。

その蜂は、家や物置の軒先に巣をいくつも掛けます。
夏の終わりか秋の初め頃、蜂の子が沢山入っている時期に巣を獲り、子を取り出してフライパンで炒り、醤油と砂糖で味付けをして食べます。
新参者のこの蜂の子は、大きいので巣から取り出し易くて料理が楽なのですが、おお味でうまくないです。

やはり小振でも、昔ながらのスガリ(草むらに小さな巣を作る足長蜂)やヘートリバチ(地蜂/クロスズメバチ)の方がうまいようです。

あんまり美味しくない蜂

最近見る蜂の巣

でも食べられてしまう


開田者の昆虫感覚
食料以外の虫の話しもひとつ。

開田村でゴキブリを見た事がありません。
冬の寒さが厳しくて、存在していないのでしょうか?

ともかく、ワタシが初めてゴキブリなる昆虫を見たのは、中学生の頃。
村の外での事です。
「ゲンゴロウか動きの速いクワガタのメスみたい」・・・と思いました。

その後、村を離れて住んでから、世の中には異常にゴキブリを怖がる人が多いのに驚きました。
ゴキブリが嫌いな人は、一匹現れただけで大の男でも、そりゃあもう大騒ぎです。

叩き潰すにしても物を選ばないと大変です。
スリッパで叩けばスリッパごと捨ててしまいます。
ようやく殺虫剤なんかで退治しても、今度はそれを片付けるのにまた大騒ぎ。
触りたくないというか、なるべく近づきたくないみたいなのです。

実際のところワタシは、素手で触っても手を洗えば平気なので、手で摘んで捨ててやってもいいのですが、友達を減らしそうだったので直接は触らないようにしていました。

いまだにワタシには、ただの虫にしか見えません。

クワガタのメス
もしくはゲンゴロウの図

虫

上空〜開田より
秋になるにつれ、開田村は朝晩の冷え込みが急激に厳しくなってきます。
このころ気象庁のアメダス観測ポイントとしては、全国一の最低気温を記録する事がごくごく希にあります。

畏れ多くも北海道や東北を差し置いて・・・。

そういえば天気予報でよく、
「日本列島の上空1,500mに○○度の寒気があり・・・」
って言ってたりしますが、標高1,100m〜1,500mに普通に民家が点在する開田村は「上空」なのでしょうか?
全国各地には、もっと標高が高くて人が住んでいる所もあると思いますが・・・。

せめて「上空2,500mくらい」にしてくれると、上空に住んでいる人達もだいぶ減ると思います。

やっぱり標高の低い都会が基準だからなんでしょうね・・・。

高いところ


上空の住人より


森は神秘に溢れている!
秋にはきのこが採れます。
きのこの事を開田の方言で「カッコ」と言います。

子供の頃「カッコウが鳴いている」と言っているのを聞いて、てっきり 「カッコ」の事だと思い、きのこは鳴くのだと思っていました。
ワタシの頭の中には、林の中でかさを開いたり閉じたりしながら「カッコー!、カッコー!」 と鳴いている、きのこの姿が浮かんでいました。

また、山の方から「かーん!」「こーん!」と何かを叩く様な音が聞こえて来る事がよくあるのですが、それはたぬきの腹づつみに違いないと思っていました。
この他にも、森の奥からはいろんな不思議な音が結構聞こえてきます。

『もののけ姫』を見たら、なんとなく正体が分かったような気はするのですが、未だに本当の事は分かりません。

何の音なんだろう・・・?

かっこ

子供の頭の中

月夜のたぬき?


番外追想話:爺さんを許して下さい
数年前、親戚の爺さんが道端で自家製の野菜や獲って来たきのこを売っていた時の話です。
ある観光客の人が立ち寄って、「道端にきのこがいっぱい生えていたので採って来たんだが、食べられる物かどうか見てくれ。」と頼まれました。
爺さんはそのきのこを見て、「そりゃ毒だから食べられん!」と自信満々 で言いきりました。

その人は、「危うく毒きのこを食べるところだったありがとう。やっぱり地元の人に聞くのが一番だ。」ととても感謝して、代わりに野菜やきのこを沢山買って行ってくれました。

ここまでなら、地元の爺さんと観光客の心暖まるいい話だったのですが・・・。
爺さんが、「捨ててくれ。」とその人が置いていったきのこを後でよくよく見たら、食べられるきのこでした。

爺さんはしっかりとそのきのこを家に持ち帰り、美味しくいただいたのでした・・・。

それじゃ悪徳商売の爺さんだ!
人の採ったきのこをまきあげて、さらに品物を売るとはおそるべし!!

まあ、本人は本気で勘違いしてたみたいなので悪気はないんですが、 家族からは「ついに爺さんボケたか!」と、言われたとか言われなかったとか・・・。

高原野菜の図

 


 『第13話』に戻る   『開田生活秘話』の目次へ戻る  『第15話』も読んでみる