開田高原って本当はこんなとこ・・・第6話


冬の開田村、いわゆる雪国と言われる地方に比べれば、それ程多くの雪が積もる事はありません。
しかし、気温はとても低くなるので冷え込みはかなり厳しいです。
天気予報などで真冬日と呼ばれる最高気温が0度以上に上がらない日もよくあります。
したがって、一度雪が降ったり凍ったりするとなかなか溶けません。
特に日陰の雪や氷は春先まで残る事がよくあります。

でも、そんな冬でも楽しい遊びはあります。 またまた、昔話になってしまいますが。

スケート
子供の頃、開田村のワタシの住む地区ではスケートが結構盛んでした。
小学校の近所の田んぼには水が張ってあり、そこが凍ると学校のスケート場になっていました。
体育のスケートの授業はそこで行いました。
放課後も自由に使う事が出来ました。
また、簡単なナイター用の照明も付いていたので、夜も滑る事ができました。
時々荒れた氷の表面を直すため放水機で水を撒いていたのですが、その翌日は氷の状態があまりにも良くなり過ぎてスケートの刃が立たず、かえって滑りにくい事もありました。

小学校の低学年の頃は、学校で貸し出ししているスケート靴を使っていました。
その後、みんな親戚や兄弟から譲って貰ったり、買って貰ったりして自分のスケート靴を用意します。
何年生の時か忘れましたが、ワタシも買って貰いました。
スピードスケート用の刃の長い物です。
みんな、滑った後にはオイルを塗ったり、メンテナンスもしっかりやっていました。
スケート靴は小学校六年まで使うのですが、毎年買い換える訳にもいかないので、皆大きいサイズの物に布切れや綿などを詰めて履いていました。

実家の物置には一番上の兄貴が使っていたのか、下駄スケートなる物がありました。
さすがにワタシの頃には、それを使っている人はいませんでした。

全校が紅白の組に分かれての、スケート大会もありました。
大会は、短距離から長距離、リレーなど色々な競技がありました。
成績は覚えていませんが、短距離やリレーなどに出た事を覚えています。
スケートのタイムの速い者は、郡の大会や県の大会などに出場する為、しばしば遠くまで出かけていました。
残念ながら、ワタシはそのレベルには一歩手が届きませんでした。
そういえば、スケート場を掃く時に使う竹ぼうきと氷の塊を使って、アイスホッケーのまねごともみんなでよくやったものです。

スピードスケート靴



スケート



箒ホッケー
スキー
近所の手頃な土手や山の斜面などでやっていました。
友達の家の近くにいい感じの山の斜面があり、その頃ちょうど札幌オリンピックがあったせいか、スラロームのコースやジャンプ台など作ったりして、かなり盛り上がって熱中していました。

今思うとワタシ達の使っていたスキーは、今時の一般的なスキーとはかなり異なっていました。
一番の違いはゴム長靴のまま着用する点でした。
金具と革製のベルトで固定する物で、かかとは自由に動きます。
ちょうど距離スキーの様な感じでしょうか。
スキー板も今時の物と違い、木の板に塗装した簡単な物で、塗装の剥げた部分に雪がくっ付いて、滑りが悪くなる事が頻繁にありました。
このくっ付く雪を「たこ」と呼んでいました。
「たこ」が付いて滑りが悪くならない様に、普段からスキー板の滑走面にはよくロウを塗っていました。

板、ストック、金具、革ベルト等は、町のスポーツ店でバラ売りされていました。
ある冬、新しい板とストックを数千円で買って貰った事がありました。
金具と革ベルトは、それまで使っていた物を、父親に付けてもらいました。
その後、スプリングの付いたスキー板にスキー靴で着用するタイプの物も出回りましたが、まだまだ主流はゴム長靴で着けるスキーでした。

スキー?



長靴スキースタイル
ソリ
まだまだプラスチック製のそりが出回っていなかった頃の話です。
私がよく遊んだソリは三種類ありました。

その一
厚くて丈夫なビニール製の肥料袋に、クッションとなる稲わらの束を真っ直ぐ突っ込みます。
すると袋の口から、稲わらの根元の部分がちょうどよい具合に出るので、袋の口元ごと縄で縛って完成。
形はきんちゃく袋の様になります。

後は、縛った部分を両手でしっかりつかんで、またぐようにして袋の本体に腰を降ろし、一気に斜面を滑り降ります。

そり その1
その二
一般的によくある物かもしれませんが、浅めの木箱を作り二本の小さなスキーの様な滑る部分を付けた物です。
箱には引っ張って歩ける様にひもが通してあります。
みんな自家製です。
箱の中にわらなどを敷いてクッションにして、そこに腰を降ろし、ひもをしっかり持って一気に斜面を滑り降ります。
滑る部分には「たこ」が付いて滑りが悪くならない様に、ロウを塗っておきます。

そり その2
その三
馬が荷物を載せて引く為のかなり大きなソリが、友達の家にありました。
大きくて重いので、山の斜面を数人掛かりでてっぺんまで引き上げます。
後はみんなでソリに乗り込んで、一気に斜面を下ります。

とてもスピードが出て楽しかったのですが、かなり危険な遊びでした。
重いせいか、一度滑り出したらほとんどコントロールが効きません。
ほとんどの場合、どこかに衝突したりするまで止まりませんでした。
したがって、そうなる前にみんな飛び降りなければなりませんでした。
何度か飛び降りるタイミングを失い、ソリと一緒にヤブや水路に突っ込んだり、大木にぶつかったりしましたが、幸いケガは一度もありませんでした。
馬ぞり

 


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