開田高原って本当はこんなとこ・・・第2話


冬です!寒いです!!あとは春まで、温泉三昧・・・?

冬こそ冷蔵庫が必要
開田のような気候の所では、当然クーラーなんてものは必要ありません。
だから、この前の夏のように30度近くになったりすると、村民はすっかりしおれてしまいます。
夕方近くに、村外からの来訪者が長袖を着ている横で、村民が汗だくになっていたりします。
そんな所じゃ、冬場は室内が天然の冷蔵庫がわりで、野菜の保存なんかさぞや楽ちん・・・と思いきや!
開田では冬場こそ冷蔵庫が必需品になります。
室内といえども「冷蔵庫」を通り越して、いっきに「冷凍庫」状態になってしまうんです。
ワタシが子供の頃の冬の朝、目が覚めると毛布の口の当たる辺りが、凍っていたりしたもんです。

冬場の開田では、凍ると困るものを「凍らないように」冷蔵庫に保存します。
冷蔵庫に入りきらない分は(ビールとかです)、毛布をかけて暖めておいてやると、これがちょうど飲み頃の温度になっていたりします。
(寒すぎてビンが割れちゃうんですね。)

さすがに最近は暖房設備が整ってきましたから、「一昔前の話」とことわった方がいいかもしれませんけど。

雪原&御嶽山

野菜の氷づけ?
「すんき」の話
冬場の家の中が暖かくなってきた・・・といえば、近頃気になる漬物の話。

開田でも農村のご多分にもれず、ほとんどの家で自家製の漬物を作っています。
木曽の、特に開田のような山村部で特徴的な漬物として、最近注目を集めつつあるものに「すんき」というものがあります。
注目が集まりすぎて、先頃ついに「木曽すんき研究会」が設立される事になったそうです。
ある日の中日新聞の記事を読んで、思わずうなってしまいました。
「ついにすんきもメジャーになるか!」・・・なれるんだろうかあの味が?
「すんき」をご存じないであろう大多数の方のために、簡単にご説明。
「すんき」の原料は、「開田かぶ」という赤いカブの茎と葉です。
カブの茎の漬物・・・というだけじゃ、珍しい珍しいと騒ぐほどのもんじゃありませんが、これが珍しいのは、塩をいっさい使わずに醗酵させた漬物だからです。
漬物っていえば塩分ですから、塩っけがないっていうのは結構珍しいと思いますが、別に健康を気遣った食品だっていうわけじゃありません。
ずいぶんと後になるまで、険しい山国の木曽では、塩が手に入らなかったっていう事らしいんです。
(漬物1つとっても、キビシイ生活環境が分かるものですねぇ。)

「すんき」を醗酵させるのは「すんきの素」です。
「すんきの素」が何でできているか?・・・恐ろしくてとても人には言えません。
というのはウソです(笑)。
実ははっきりした事はよく知りません。
なぜかというと、通常「すんきの素」にするのは、前年乾燥させて保存してあった「すんき」なので、素の元から作っているのを見た事がないからなんです。
納豆みたいな話ですが・・・。
一説によると、元々の素は、山のブドウの実などをつぶした汁を使うそうです。

・・・という事で、醗酵過程の環境が微妙に影響する食べ物なわけです。

保存用に冷凍した「自家製すんき」を、関東地方に持って来て食べてみる事があります。
しかし実に悲しい事に、直後と言っていい程すぐさま味が変わってしまいます。
「やっぱりこれは気候が違いすぎるからだろうなぁ。」と、ぼんやり思っておりました。
ところが、最近開田で食べる「すんき」が、それと似た味になる事があるんです。
「すんき」にとっては、最近の家の中は暖かすぎるのかもしれない・・・と思ったわけでした。
(はたまたこんな所にも、地球温暖化の影響か!)

「すんき」を「木曽の味から全国の味へ」と意気込んでいる愛好家らによる「木曽すんき研究会」は、現在会員を募集しているそうです。
「すんき」に興味がある方なら、誰でもOKだそうです。

これがすんき すんき写真




漬物樽の変化
漬物今昔・・・
醗酵した=酸っぱい味の「すんき」をどうやって食べるかというと、そのまま漬物として食べる場合は、かつお節と醤油をかけて食べます。
開田ではよく「すんき」を味噌汁の具にします。「酸っぱい味噌汁」ができるわけです。
これを迂闊にも、よその人に出してしまったりすると、大変な事になります。
まず、醗酵しているわけですから、それなりの「におい」があります。
自家製の味噌なんか使っていたりすると、それが倍増します。
鼻先に持ってきただけで不審に思いつつも、勇気を出して口に入れてみると酸っぱい!!。
これじゃ「腐ってる!!」と騒がれても仕方がないですよねぇ・・・。

「すんき」の食べ方として有名になりつつあるのが「すんきそば」。
これも、そばの味として「酸っぱい」という選択肢がない一般の人が知らずに口にすると、まずは驚くと思います。
そば自体ではなく、そばのつゆに「すんき」が入っています。
大概のそば屋で食べる事ができますので、開田をお尋ねの際には、是非お試し下さい。
そば屋で食べた事のない筆者の想像では、多分一般向けに、多少はマイルドな味になっていると思いますので・・・。

杵と臼



特設ページ参照

行ってみたい!活魚の店
なんと開田に活魚の店があるそうです。

活きのいい海の魚が、こんな山奥で食べれるなんて贅沢だ!感激!!
・・・というわけで、早速村の友人が偵察に行ってみた感想。

「すごいぞ!水槽の中に、タイやらなんやらが泳いでるんだ。逆さに浮いて!!」
え?!逆さに浮いて・・・?
それは、ちっとも活きがよくないではないか!
・・・というのは下(平地)での話。
開田の標高を思い出して下さい。
観光客の方が、高山病になっちゃう高さを。(大袈裟だけど)

どうやら、魚の浮き袋が気圧で膨らんじゃうらしい事が判明!!
板さん曰く「逆さで泳いでるのは活きがいい証拠です。」
なるほど納得!(・・・していいんだろうか?)

あいかわらず、高地なお話でした。

たい?



 『第1話』に戻る   『開田生活秘話』の目次へ戻る  『第3話』も読んでみる