|
本土最南端といわれる、九州の鹿児島県佐多岬を目指す。 1983年の夏に、日本最北端、北海道の宗谷岬に行ってからずっといつかはバイクで行きたいと思っていた。
有給休暇をフルに使い、4月末から5月初めの飛び石連休を全部つなげて、10連休にしてしまった。
文字通りのゴールデンウィークとなる。
会社勤めの身としては、こんなにまとめて休めるとは快挙だった。
フェリーで直接九州へ入る手段もあるが、陸路で行く事にする。 |
|
朝、早めに出ようと思っていたのに、朝飯を食ったりして、ぼけぼけしていたら遅くなってしまった。 まあ、これもいつもの事だ、あわてないで行こう。
9時前、やっと横浜のアパート出発。
東名高速を利用してもよかったが、高いお金を払った上に連休の渋滞にはまったらたまらない。比較的空いていそうな、横浜新道、西湘バイパスを通って箱根を越える。 |
普段より少し速めのペースで走行車線を走りながら、前の車に追い付いたら追い越しをする。 そんな事を繰り返しながら、ただひたすら和歌山港を目指す。もちろん、速度違反で捕まらないよう周りへの注意も怠らない。東名高速は、車とバイクで制限速度が20km/hも違うので、いろんな意味で危なくてしょうがない。
順調に進んでいたが、なかなか名古屋までの距離が縮まない。
ふとバックミラーを見ると、ずっと奥に小さく赤い光がちらりと見えた。
とっさに加速して左に合図を出し、走行車線の前方に空いていた場所に滑り込んだ。
再度、ミラーで確認すると、やっぱりパトカーだった。危ない所だった。 |
てっきりそのパトカーは、そのまま通り過ぎると思ったら、なんとサイレンを鳴らし、私に停止を命じた。本当に俺か? 速度計測された筈はないのに何事なんだ!と思いながら、半信半疑で路側帯に停止する。
パトカーの後部座席に招かれる。
警察官いわく、明らかに速度の出し過ぎだったようだが、残念ながら速度の計測は出来なかった。しかし、追い越し車線を数Kmに渡ってずっと走行していたので通行区分違反だ!などと言う。 |
|
確かに事実だが、私が知る限りそれを理由に、高速道路で違反キップを切られたなんて聞いた事が無い。
やんわりと抗議したが、もちろん聞き入れられず青色キップと反則金4千円('86当時)の納付書を渡される。もっと罰則の重い速度超過でなくて良かったが、速度計測できなかったはらいせのような違反キップにいまいち納得がいかなかった。
かくして、人生2度目の違反キップとなる。
その後、何度か休憩しながら名古屋から南下し、三重県から名阪国道を通って奈良県天理市に入る。大阪府をかすめやっとの思いで和歌山県に入った頃は、日もとっくに暮れだいぶ遅い時間だった。とりあえず泊るあても無かったので、四国行きのフェリーが出ている和歌山港に行ってみる。すると、ちょうど最終のフェリーが、もうすぐ出るところだった。すかさず、最終のフェリーに乗船する。
夜11時出航、料金は3,000円。 2時間余りの船旅で四国の徳島県小松島市に上陸。 |
|
あいにく雨が降っている。 とりあえず、フェリーの待合い室にバイクを乗り付け雨宿り。そこは出入り自由の建物で、構内の売店はシャッターで閉ざされている。幸いベンチがあったので、タンクバックを枕にして仮眠を取りながら、夜明けを待つ。
かなり開放的な場所なので、とても熟睡とはいかないが、体を伸ばして横になれるだけでも、ずいぶんと疲れがとれる。 |
何時頃だったろうか、ふと人の気配に目を覚ますと、警察官が立っていた。君は誰でここで何をしているのか、というような事を聞かれる。身分証明書の提示も求められたので、免許証とさらに一緒に持っていた社員証も見せてやった。すると警察官は私の所から去って行った。いわゆる職務質問、というやつだ。
だいたいゴールデンウィーク中である。フェリーの待合い室でヘルメットを横に置き、革つなぎで寝ているのに、夜中に起こしてまで職務質問する程、私は怪しい人物に見えるのだろうか? せっかくの安らかな眠りを妨げられて、ちょっと不機嫌になる。
いつのまに同じ待合い室にいたか知らなかったが、少し離れたベンチにいたおじさんも職務質問されている。酔っ払っているのだろうか、何やら警察官ともめているようだ。その後、そのおじさんと警察官はいなくなったが、どうしたのだろう?
まあいいや、待合い室は私一人になった。これで、ゆっくり休める。 |
本日の走行距離、627Km 疲れた。